京アニに向けて。
今週の木曜日、テストが終わってツイッターを見た友達が言った。
「京アニ、炎上してるって」
「炎上?何かしたのかなぁ」
私はそう返した。
ネット世界での炎上だと思った。珍しいな、あの京アニが、とも思った。
あの時の言葉に後悔がとまらない。
そのとき、本物の炎に京アニのスタジオが包まれていたと知ったのは、家に帰ってからだった。
先日、京都アニメーションのスタジオが放火によって全焼し、多くの方が亡くなりました。
報道のなかで、どうしても自分の思いがうまく整理できませんでした。この記事は、自分の中で折り合いをつけるために書きます。
京アニの存在を知ったのは、アニメ「Free!」でした。
水の描写と作品に流れる穏やかな時間、登場人物たちの優しい表情と声。スポ根系じゃないスポーツアニメは新鮮で、のんびりと見ていました。
Free!の2期は、遙やまこちゃんが進路に悩むシーンもあり、再放送の時ちょうど高校二年生だった私は、たくさんの共感と共にストーリーを追っていました。
大学受験の年の冬ごろに、映画ハイ☆スピードが公開されて、センターと一般入試が近い私は見に行けませんでした。
けれど、受験がおわった二月、まだ京都で上映が続いていて、喜んで見に行ったのを覚えています。
夜遅くで危ないから、と付き添いで見た母が、帰りの電車で「なかなかよかったね」と言ってくれて、このアニメはアニメに興味がない母でも刺さるんだ、と嬉しくなりました。
劇場版を経て、部活の都合で3期は途中までしか見れなくて、もうすこし落ち着いたら見ようと決めていました。
決して熱心なファンではなかったけれど、作品を通じて年齢が上がる遙たちに、同じように年齢が上がっていく自分を重ねて、一緒に成長できてるみたいで嬉しい作品だな、といつも心の何処かにとどめていました。
7月からの劇場版、私は見に行けませんでした。まあまた来年新作があるから、それを見に行けたらいいや。今回の劇場版も、きっとどこかで配信されるだろう。
なぜ見に行かなかったのだろうと、後悔しています。
来年の確証なんてないのに。だって現に、今までFree!を作っていたスタッフさんが、明るい音楽と共に流れていたエンドロールに載っていた人が、今回の事件で巻き込まれてしまったかもしれないのに。
Free!のストーリー、絵、音楽、イベント、演出、それらに関わっていたスタッフさんが、作品を通して私にあんなに素敵な感情を抱かせてくれたスタッフさんが、もしかしたら被害にあったかもしれない。そう思うと、今にも涙がこぼれそうになります。
京アニの絵が好きでした。描写が好きでした。ストーリーが好きでした。音楽が好きでした。優しくて繊細な作品を作る力。
たしかに有名になってほしかった。けど、こんな事件で、こんな悲しい形でニュースで読み上げられるのなんて見たくなかった。もっともっといい話題で、それこそ、聲の形が話題になったときのように、京アニってすごい!って、世間の人がそう思えるような話題の中でその名前が読み上げられるのを見たかった。
こんな形で、素敵な作品を作るスタッフさんをまとめあげてきた、素敵な社長さんのお顔を、お名前を、お声を覚えたくはなかった。
今は何もできないし、そんな無力な自分に嫌気がさします。
祈ることしかできません。亡くなった方が、どうか安らかに。そして、今も病院で苦しんでいる方たちが、心身ともに一刻も早く回復できますように。
京アニが、また未来に向かって作品を作れるようになりますように。